先天性眼瞼下垂の手術から6年
先天性眼瞼下垂の手術をしてから6年が経ちました。
息子の手術する病院を探してくださった先生が、たまたま小学校の健康診断の学校医で毎年来られており、息子に「おう、元気そうだね。変わりない?」と声をかけてくださるそうで、何かあれば言ってくれるだろうと思って病院に行っていませんでした。
今年その健康診断で、先生が息子に「たまには様子見せに来てよー。」と言われたそうで、「あ、そろそろ行かなきゃね。」と話していたところ、『アレルギー性結膜炎』という診断書を持って帰りました。そこでその先生の病院へ行ってきました。
眼科の先生の所見
先生に「先生が学校医と聞いていたので安心してこちらに足を運ばずすみませんでした。」と言うと、笑って「そう、だから軽いけど結膜炎の診断して来てもらおうと思ってね。」言われていました。
ひととおり視力検査などを終え、先生が目の開き具合や瞳孔を診察されました。
「目の上の傷もだいぶ薄くなってきてるし、開き具合もちょうどいいねえ。さすがだなあ。」とおっしゃいました。
私が「どのくらいのペースで診察に来ればいいですか?」と尋ねると、「何もなければ年一回くらいでいいよ。」との事。
結膜炎の方は、見た目充血しているという事はないですが、息子もこのところ目がかゆいとの事で、目薬を処方されて終了しました。
先生がおっしゃるには、先天性眼瞼下垂は難しい手術にもかかわらず完治や正解がないためになかなか学会でもとりあげられにくく、これに力を注ごうという若い先生がなかなか現れないので本当に難しいとの事でした。
先天性眼瞼下垂で産まれてくる子どもが時代と共に減っているわけではないのに、手術ができる先生が増えない・新たな技術が生まれないというのはとても残念ですよね。
6年間の眼瞼下垂との歩み
手術後の6年間で何か大きな事件があったかといいますと、特になしです。
学校生活について
息子は体も大きくキャラ的にもいじめっ子が狙うタイプではないし、息子の通う学校にそういった陰湿ないじめをする子供やそれにつるむ様な子がいない為、瞼のことでいじめられたことは無いです。いえ、悪い子は相当数いるようですが(笑)クラス全員で無視するとかそういったいじめは今まで聞いたことが無いので、環境にも恵まれていると言えます。
1年生の時のクラスに厄介な子が一人おりまして、その子には目がどうの眉毛がどうの(眉毛は幼児の時こけてできた小さい傷です)と言われたのですが、息子が相手にしなかったのでその後それらについてしつこく言われることはありませんでした。その子は息子以外の子にも外見にケチをつけてああだこうだ言う子ですが、そういう子は相手にしないのが一番ですね。
それから、席順は一番前だと顔を上げないと見ずらいので後ろの方にしてもらえるように毎年一学期の家庭訪問時に先生にお願いしていました。
今年は息子に確認したところ、一番前でも問題ないとの事でしたので、先生には席の事は言っていません。眼瞼下垂の事は一応伝えています。
一年生の時に、目をすごく掻いていると指摘されましたが、それ以外学校生活で何か支障が出たことはないです。
見方について
顔を上向きにしてものを見る角度は、だいぶ下がってきていると思います。
現在10歳なので、ある程度顔の筋力もついてきて顔を上げずに瞼近辺の筋肉をコントロールできるようになってきているのではと考えます。
手術以前の診察で、顔を固定し、先生がアンパンマンのキーホルダーを持って「これをずっと見てて」と言って目の前から上の方に持っていくと、瞼が動かないので顔ごと動かして上を向いていました。術後もしばらく・・・最近まで??はそのクセがついているので上を見るときは顔ごと動かしていました。そもそも上に上がっていくものを〝目だけで追う”ということをできなかったので、その概念が彼には無かったと思います。
先日、家で先生がやっていたのと同じように、「私の指ずっと目で追ってみて」と頭を支えた状態で試してみると・・・できました。顔を上げず目だけを上に動かして追うことができてました。
普通の人にはなんて事ないことなんですが、息子がそれをできるようになってることには感動しました。
見られ方について
風邪やケガなどでかかりつけ以外の病院に行くと結構な割合で「これは眼瞼下垂の手術してる?」と先生に聞かれます。
先日、虫刺されがひどく腫れて皮膚科・形成外科医院に行ったのですが、虫刺されの診察より眼瞼下垂の話の方が長かったです。(笑)
眼瞼下垂の手術は形成外科でも行えるのでその先生は気になったようで、どこで手術したのかとか、そこの病院の先生の医学書読んだよとか、手術して目の具合はどう?とか色々お話ししました。
大抵聞かれるのが、どこで手術した?というのと、手術前どの位目が開いてたの?ということ。専門が違ってもある程度の知識を持ってらっしゃるようで、「ああ、なるほど。」「上手だね。」というのはよく言われます。
病院ではよくそういった話をされるのですが、息子の友達のお母さんなど、一般の人に聞かれたことはありません。こちらから話をすると、「え?どこを?」とか「そうなの?全然違和感ないね」とか「全然気づかなかったよ」とか言われます。
一般の人はさほど気にして見ていないのでしょう。術後下垂の程度が軽くなったのもあります。
考えてみれば、色々な顔の子がいてみんなそれがそれぞれの個性ですから、いちいちこの子の目が・・・などと考える人はほとんどいないですよね。
スポーツについて
息子は野球をしているのですが、主人が言うには、キャッチャーだけは無理かな、との事です。しゃがんだ状態で目線より上の球を多く受けなければならないし、キャッチャーフライが来たときに瞬時に上を向いて球を追うのはなかなか厳しいのではないか、との見解です。
他の内外野手、ピッチャーとしてはフライを捕る練習もしていますが問題なくできているので、その他のポジションは支障なくできると思います。
スイミングも習っていますが、これは今まで特に支障を感じたことは無しです。
その他の体育の授業や競技も瞼のせいで何かできなかったということは無いので大丈夫だと思います。
あとこれは眼瞼下垂だからという事でもないですが、外で活動するとき、どうしても目に砂やゴミが入る機会が増えるので目薬は必須です。瞼が完全に閉じないのでその機会は多いと思われます。なるべく早めに自分で目薬をさせるように練習しておくと安心ですよ。
その他
息子は偏頭痛もちです。雨で特に湿度の高い日やテレビを長く見た日、とても暑い日など頭が痛いと言います。常に目の周りに力が入っている事と頭を上げることによる肩と首への負担が原因なのではと思っています。痛くて我慢できない時には小児用バファリンを飲んで数時間でよくなるのですが、今後あまり頻度が高くなるようでしたら、脳神経外科に行って相談してみようと考えています。
私も小学生の時から偏頭痛もちで、今でもひどい時は鎮痛剤が欠かせないため、遺伝の可能性もありますが、ちょっと今気にかけている事です。
まとめ
これといった問題もなく無事に6年間を過ごしてきました。
病院を紹介してくださり、その後も診察してくださっている先生、手術をしてくださった先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
私も当初ネットで色々調べて暗い気持ちになることもあったのですが、元気に生活している息子を見て今ではほとんど気にしていません。
今後も定期的に先天性眼瞼下垂の経過について、書いていこうと思っています。
先天性眼瞼下垂 ~育成医療制度と高額療養費制度で医療費負担が減らせます~